2日目

日本のメディアの方々は
初めての紛争地域に来た 私のようなどこの馬の骨か分からないものにも
対等に接してくださっていました
私にとって彼らは 神さまみたいな存在で憧れの対象でした
NHKのO氏などは 7ヶ国語を操り アフガン政府の役人っぽい人に
ロシア語で 「君はKGBだろ」 なんて恐ろしいことを聞いていたりしていました
相手が誰であろうと態度を変えることなく 毅然とした態度で取材をされていた
この方は 今回のアフガニスタン取材の少し前
当時鎖国状態で どこのメディアも取材できなかったアルバニアの取材をされ
その貴重なビデオは世界中のTV局が欲しがり 買ったと聞きます
現在はポーランドのワルシャワをベースに テレビ○日のロンドン支局長をされているようです
ニュースステーションでリポートをされてるところを何回か見たことがあります
S新聞モスクワ支局長のS氏 この方は大変気さくな方で
何も分からない私を気にかけてくださいましたし
S新聞用の写真を撮る代わりに ソ連兵の取材に同行させていただいたりもしました
翌年S氏は 優れた国際報道を行ったものに送られる
「ボーン上田 国際記者賞」を受賞されました
今までアフガニスタン軍の写真は撮ってきましたが
肝心の撤退するというソ連軍の写真は 航空機を除いて殆どありませんでした
街中ではチラホラとソ連の兵士や装甲車は見かけるのですが
アフガンの私担当のお役人は 撮影はするなとのことでした
するなと言われると したくなるのがカメラマンの性
そんなに数はありませんが こっそり何カットかは撮影できました

バタバタバタバタ
ソ連製の戦闘ヘリコプターです
さすがにこのアングルはビビリます
カメラを構えるというのは 銃を構えるのにも似ています
隠れるとさらに怪しいので 堂々と撮影しました

ホテルの窓からこっそり撮影

客室の窓から狙いましたが
その部屋は私の部屋ではありませんでした
誰の部屋かといいますと
現地で知り合った日本人商社マン! のお部屋にお邪魔させてもらったのです
「もう帰りたいんですよ~」 と泣きが入っていました(笑)
いったい何の商売をしているのかを聞きましたら
いろいろあるそうでしたが 一番は魔法瓶をこちらで売っているようでした
こちらでは お茶(チャイ)を飲む習慣があるので魔法瓶は結構売れるといってました
そしてアフガニスタンからは絨毯などを買っていました
ちなみに バザールに行くとソ連から闇で流れてきたキャビアのカンヅメがあったのですが
日本円で350円くらいでした
いくつか買って帰って知り合いのカフェバーの店長に仕入れ値を聞いてみたら
たまたま同じ銘柄で 1800円!
いっぱい買って帰っていれば 一儲けできたでしょうね(笑)


S新聞のS氏が ロシア語で若い兵士に声をかけている隙に 隠し撮り

2日目終了
そして3日目の朝が来ます
私は朝の食事を終えて 部屋で機材の準備していました
トントン
ドアをノックする音
はーい と元気良くドアを開けたら

私担当の政府のお役人と
そしてもう一人背広を着た人間
さらに兵士2人(警察かも) が立っていた
?
何かまずいことになっているような雰囲気・・・
「あなたは今日出国してください」
「昼に迎えに来ますから 荷物をまとめておくように」
「ビザが切れました」
みたいなことを言っている
ちょちょーい!
なんでか理由を聞くと
「お前は今回 来れるはずではなかった」 らしい
どうにも---ならない らしい
くすんくすん泣きながら荷物をまとめ
他のプレスの方々に こんな事いわれたと云いつけに行ったら
「あーそりゃしょうがないわ」
「前回 捕まったもんね」
誰も抗議してやろうという人はおらんのか?
まあ正直この大事なときに
私なんかにかかわっている場合ではないのは 私もよく分かります
しょうがない・・・
あきらめて部屋に戻ろうとしたとき
「ああ もうーすくん」
A新聞 T氏が声をかけてくださった
はいはい何ですか!? 何かいいアイデアでも?
T氏に懐いて近寄る
「前回は武士の情けでしなかったけど 今回は記事にさせてもらうよ」
だと
冷たいのね 皆・・・
とほほー
私は 結局一番撮りたかったソ連軍の撤退の撮影は出来ずに放り出されるはめに
お昼
私担当のあんにゃろめは兵士を引き連れて 私を迎えにきた
ごていねいに空港までついて来て
さらに飛行機の中にまで一緒に入ってきて
私を席に着かせシートベルトをつけさせ
そして安心したように帰って行った
座った席のお隣は
ちょうど撮影したビデオテープをインドにに持ち出そうとしていたNHKのO氏
「残念だったね」
と一言声をかけてくださったあと
お隣の フランス人マドモアゼルジャーナリストと
フランス語で楽しそうにお話をされていました
聞き耳を立ていたら ウィ だけ解りました・・・
これで私のアフガニスタン取材旅行は 二泊三日で終わってしまったのです
この後 インドのニューデリーに到着してから また散々な目に遭います
カブールで預けた荷物はパキスタンに行ってしまうし
安物航空チケットだったから便の変更をするのが空港内でできないというので
空港の外の事務所で 子犬の目作戦を使い 何とか無料で予約変更をしてもらって
喜び勇んで空港に帰ってきたら
出発の1時間半前まで空港内には入れないと言われ閉め出され
何度お願いしても絶対だめだといわれ
気温44度の外で日陰でゴロゴロ寝ている人たちと一緒に寝て
我慢できなくなって空港職員の兄ちゃんに袖の下を(500円くらいだった)渡し
さらにバーでコーラをおごってやったら簡単に中に入れてもらえ
6時間くらい空港の中で飛行機を待ち
やっとの思いで日本に帰ってきて
次の日の朝刊を見たら
おわり
次回 番外編があります
タイトル 「アフガニスタン→六本木」
なんだかなあ・・・
コメント
コメント一覧 (1)
現地の生写真にuchinotoramaruって入れちゃってるのがまたいいです。続きに期待大。