10年前

2014年3月

                       
                       
                       
                       
福島第一原発20キロ圏内が

警戒区域だった頃のお話です

警戒区域南端の楢葉町に

一軒の金物屋さんがありました

震災から3年が経っていましたが

依然として立入は許されず

誰もいない町に

のこされた動物たちがさまよっていたのです





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私が行くたびに居た一匹の黒猫




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私には保護する能力がなかったので

餌を置くようにしました


餌を置き

それを食べて生き延びてもらう

当時の私はそれだけしかできなかったのです




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「えさ台」を使ってくれていましたが

この時はまだ

近づくと逃げてしまうような子でした



また翌週に行ってみると




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身体の横側がおかしい

どうやらネズミ捕りの

粘着シートがくっついた様子

捕まえることも出来なくて途方に暮れていたところ




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金物屋のご主人が一時帰宅で戻って来られ

ありがたいことに

自分には馴れている子だから何とかしますと

おっしゃってくださった

黒猫の名前はクロだったことも教えていただき

震災前からお世話をしていたということでした




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次に来た時にはお店の前に餌箱が置いてあり



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ベタベタだったところの毛が

刈られていてスッキリ




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ちょっと寒そうだったけれど

まずはめでたい


ところが

誰も住んでいないところに残されている

その状況は変わらず

お店の方も避難先には連れて行けないので

このままここに残しておくしかない





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私にも懐いてくれるくらいの

人懐っこいオス猫だったので

里親さまを募集してみることにしました




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お店の奥さまが描かれた里親募集チラシ(笑)




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他にも猫がいるので

「えさ台」も新しいものに交換





こんなに人懐っこい子だったのか




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ぽてぽてのクロ

見た目や性格は申し分ない

やがて救世主になる里親候補さまが現れたのです


里親候補さまはなんと新潟の方

新潟・・・また遠いところから・・・

でも猫のためなら距離なんて関係ない

その距離で手を挙げてくださったということは

それだけ覚悟があるということ


さっそく日にちを調整して

お迎えに来ていただきました




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スゴイ! 軽自動車でお迎えですよ

左は私の軽自動車ココア(笑)




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金物屋の奥さま 最後の抱っこ



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お別れ

左が里親さまのSさん




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そしてクロは新潟に旅立ったのです







さて

なぜ今 10年も前のクロの話をしているかというと

実は・・・・




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どーん



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クロは元気だと連絡があったのです!

今年でなんと17歳

確かエイズ陽性だったと思います

しかしクロは元気です




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良かったなあ

君は新潟に行って大正解だったね




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飼い主様Sさんからのメッセージ


最近のクロちゃんは今年で17歳、かなりおじいちゃんになりました。そして貧血でゆるやかに体重が減ってきております。 腎不全ではないものの、エイズの子に貧血は状態としては良くないとお医者様が言っているので、
猫用の鉄分サプリを試しにあげたりと、何とか回復してくれるように試行錯誤してます。 ご飯を食べる気力はあるので、こまめに病院に連れて行って体調管理に努めたいと思ってます! 毎日布団に入ってきて腕枕して寝ていて甘えっ子なところはかわりません笑




こんなお知らせ最高ですよね!

クロは

震災と原発事故によって窮地に立たされましたが

運と持ち前の性格で みごとに幸せを掴みましたよ




一匹の福島の猫が幸せを掴んだお話でした