堤防猫の後編です





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一日二回の食事

幸せな時間






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おじさんが残ったフードや

食器をきれいに片付け

帰り支度を整えます

ペットボトルに入れて持ってきた水で洗い

決して残りものが出ないようにします

これをしっかりしておかないと

カラスや野生動物がやってきたりして

問題が起こり

最終的には人々の攻撃は猫に行ってしまう

ただ居ることだけでさえ

疎まれることがある猫たち

おじさんは問題を起こさないように

極力神経を遣っておられました






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おじさん ありがとね またあした



かれらは おじさんを信頼しています

何があってもご飯を届けてくれる

もうそれは7年以上続いているのです





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片づけを終えた おじさんは

帰るために歩き出します





皆が見送るなか

一匹だけが おじさんから離れません

彼の名前は「チビタ」

だいたい いつもお見送りをしてくれるそうです





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おじさーん ちゃんとついてきてる?


かれはおじさんを先導して歩きます




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コテッ


おじさん おそいよ

しょうがないなあ


と ばかりに倒れて待つチビタ





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ぼく まっててあげてるよー


そうかチビタは優しいなあ

と おじさん





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おじさん きたきた♪





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きた・・・




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ありゃ おいこされちゃった





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そしてまた定位置に


これを繰り返しながらの帰り道です


この子はだいたい毎日土手の上まで

お見送りに来てくれるんだよと

嬉しそうに話してくださいました





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陽がだんだん傾いてきました





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ちょうど夕陽に照らされた

その光景は

映画のワンシーンのようで

シャッターを切らずにはいられませんでした




おじさん

ぼくはここまでだよ







うちのとらまる
ピタッと動きを止めるチビタ


堤防の土手が切れ

河原の世界から人間の世界に入る

ここが境目

チビタのお見送りは

いつも河原と街の境目の ここで終わるそうです





うちのとらまる
いつものことだからと おじさんも慣れたもの


じゃあな また明日


そう言って

おじさんは また歩き出します






うちのとらまる
チビタは座ったまま動かない


かれはこの河原で生まれたから

ここで暮らして行くしかないのです

こんな場所でも

ここが チビタのふるさとなのです


私は立ち止まり お行儀よくお座りしている

チビタを撮影しました



チビタはおじさんに向かって



うん またあしたね









うちのとらまる
そう言ったような気がしたあと

切なそうにため息をついたのを

私は見逃しませんでした







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別の日


おじさんきた!





猫たちは5月の

寒くもなく暑くもない良い季節のひとときを

ゆっくりと過ごしているようでした


その姿が あまりにも平和すぎて

この環境の悲惨さをより一層際立たせ

胸が締め付けられるのです



初夏という季節であったのと

夕方の河原の空気のせいでもあるのでしょうが

何とも言えない切ない気持ちになったのでした




次回は猫たちのプロフィールを
紹介させていただきます





(この話は2009年5月の記事です)