忘れもしない
                                            
                                             
                                             
2011年7月

私は福島第一原発20キロ圏内

南相馬市小高区の村上海岸にいました



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そこで出会った一匹の犬

くるみというミニチュアダックスフント
(2011.7)



くるみ



その10年後

先日 行ってまいりました




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津波から逃れるために

飼い主さんと駆け上った坂道



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幸い津波は

ここまでは到達しませんでしたが

周りは海と化し

完全に孤立することになりました

避難した方々は

こちらで一晩過ごしたそうです

3月の寒い時期です

人も犬もどれほど不安だったことでしょう


翌日 人間はヘリコプターに救出されますが

犬は乗せられないと

この場所に置いて行かれてしまいました

ミニチュアダックスくるみの

約半年間にわたる苦しみは

ここから始まったのでした



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くるみが半年も生き延びられたのは

この湧水があったから

餌は地元の住民の方やボランティアが

立入禁止である警戒区域を無視して

潜入し置いていた

キャットフードが唯一の食べ物



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水は今でも湧き続けていました




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この小高い丘は

昔にも高波の被害を免れたようで

波切不動尊というお堂があります




l04651たくさんの命を守ってくださり

ありがとうございます



10年経っても

お地蔵さまやお堂が

未だに放置されているのが気になります

いったいどうしたのでしょうか





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走って逃げる くるみ
(2011.7)

人が来た! と

差し伸べた手に飛び込んでくれたら

助かっていたのです

しかし彼女は

飼い主さんにしか心を開いていなかった



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飼い主さんと毎日散歩した堤防は

すっかり様変わりしていました




警察の目を

かいくぐりながらの捜索だったので

満足な活動ができず

結果くるみは亡くなってしまいます

彼女が飼い主さんに会えたのは

亡くなった翌日のことでした




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津波から多くの命を救った村上の丘
(2011.8)

しかしわれわれ人間は

犬一匹

くるみの命すら

救うことができなかったのでした