世の中は矛盾で満ちています
                                               
                                               
                                               
今回は非難覚悟で書かせていただきますね

自分は弱い人間です

だからずるいこともしますし 逃げもします

だけど ほんのたまに矛盾に立ち向かったり

少しだけれど自分で良いと思ったことを

実践してみたりもします


皆さんもきっとそうですよね

いくら強い人でも

100パーセントの正義を

貫いている人なんて

いらっしゃいませんよね

まあ正義ってのもよく分かりませんが



なんてことを書いているところから

もう逃げに入っている感が溢れていますが

私はまあこの程度の人間です





希望の牧場頭数検査が終わり

スタッフやベテランボランティアさんたちは

次の作業に入り始めました

牛を扱える人間が集まるこの日に

やっておきたいことがあったのでした




001
去勢手術同様に「見るのも辛い」

除角(じょかく)作業です



見るのも辛い・・・ なんて

牛に聞かれたら踏み潰されても仕方ない

無責任極まりない言葉

まさに牛にとっては苦しみでしかない

そういう作業になります




002
牛の角は鹿と違って

血管も神経も通っている身体の一部

そこを麻酔なしで切断するのですから

堪ったものではないでしょう




003
痛がり もがく牛たち

吹き出す血





004
詳しくは分かりませんが

中心部は生きている感がありますね




そもそも この作業をなぜするのか

様々な理由があるようです


まず 角が当たって他の牛や人間が

怪我をしないように

角を切ることによって性格が穏やかになる

まれに自分に向かって伸びてしまうので危険


大まかに言ってこんな理由があります


確かに牛同志ケンカする時もありますし

人間にじゃれついてくることもあります

牛はそんなつもりでなくても

力は半端ありません

先が尖っている角はまさに凶器で かなり危険




そういう理由からなのですが

今回除角した牛は

自分に向かって角が伸びてきた子たちでした








l牛の角
角といっても形は様々

いろいろな形がありますよね

二段目右とか三段目左は

ちょっと変わっていますが

子どもの頃に処理されていると

こうなるそうです



それでは少し刺激的ではありますが

除角の模様をご覧ください





010
シャリシャリシャリ・・・

ノコギリで切っていく作業は大変なことです





011
ロープが緩んでくるので

締め直しながらの作業





012
血が噴き出します

それを焼いて止血

あと消毒液を吹きかけて完了






020
ドスン バタン!

300キロはある牛が暴れると大変危険です

そんな中で慎重に作業を進めます




021
牛たちは凄い声の悲鳴をあげます




がんばれ がんばれ

写真を撮りながら

そう思うことしかできません

がんばれ!





022
隣の柵の牛たちも応援しているようでした




023
がんばれ!




024
終わったよ・・・

よく頑張ったね







030
まれに角が死んでいる子もいます

こういう子はとってもラッキー

血も出ませんし 痛みもありません





l02039
この子は大変

もうすでに頭に角が当たっています

このままいくと頭蓋骨に

食い込んでいくことになるでしょう




l02071
しかし一筋縄ではいかない

暴れて保定出来ない





l02097
ついには柵も飛び越した!

これに巻き込まれたら非常に危険です




l02116
なんとか動きを抑え角を切ります



健康な角は切るのも大変です

しかも痛がって暴れる中での作業は

困難を極めます





l02144
次に除角される牛が心配しています

がんばれ がんばれ と





l02170
皮膚を傷つけないようにするのも大変





こうして角が自分に向いている牛たち

たしか8頭くらいの除角をしたのでした



自分も今回久しぶりに

除角を目の当たりにしてみて

麻酔もなしに除角をするのは

大変残酷なことと

心底そう思いました

私たちで言うと

歯の治療を麻酔なしで

しているようなものでしょう

しかし

これはお金のない中 無理やり生かしている

被爆牛だからではなく

通常していることだと聞いて驚きました

やり方は違えど

こうして除角される牛たちが

日本全国で悲鳴をあげているのか・・・



かわいそう

かわいそうですよね

でも・・・

この先は皆さん

当然承知されていることと思います



牛たちは自分が人間の食べ物だとは

これっぽっちも思っていません

この世に生まれて

食べて繁殖して

そして寿命を終えて死んでいく

そう信じて生きています

だから大人しくなんかしていませんし

イヤならイヤと抵抗もします

気に入らない他の牛ともケンカをし

弱い牛を虐めて排除することもします

けれども

弱っている仲間を思いやることもします

魂を抜かれたように

と殺場に とぼとぼと向かっていくような

そんな動物ではないのです




食べ物にされる運命

食用として家畜として

生まれてきた牛たちって

いったい何なのか



牛肉 美味しいよね

牛 かわいそうだね



私も動物好きをアピールしながら

平気で肉を食べてきていました

この矛盾をどう思うか

嫌なことは考えたくないから

耳を塞いで目をつむってきていたのです





l1641
ガツーン!

牛舎から解放された牛が荒ぶっています

二日間にわたって閉じ込められた

そのストレスなのかもしれません





l1615
普段温厚な いちごさえも

除角もされていないのに興奮していましたよ

こちらに向かってきて

少し危険を感じたくらい






最初の 世の中は矛盾で満ちている

に戻りますが

本当にそう思います

でもそれで諦めて

流されていていいのでしょうか

殺人はダメだけど戦争なら許される

小さいウソは咎められても

大きいウソはまかり通る

殺すことは良くないのが分かっていても

人間の害になればすぐに殺してしまう

どんなにきれいごとを言っていても

自分は他のものを犠牲にしてしか

生きられない

しょうがない しょうがない



嫌です

嫌なんですよ

生きている以上 他を犠牲にするとしても

自分は もがきたい

できることをやりたい

楽な方へ逃げないで罪悪感を持ち続けながら

生きていきたい

そんなふうに思った

今回の福島の二日間だったのでした




追記

今回 希望の牧場事務局に
なぜ除角をするのかを
聞いたところ
「角が牛自身を傷つけるから」と
理由はそれだけだと回答いただきました
考えてみたら
通常 角が曲がって伸びて自分自身に刺さる
なんてことはそうそうありませんよね
黒毛和牛の場合だいたい30カ月で
伸びる前に出荷されてしまうから
そう考えると
もう8年以上も
(震災前から生きている子たちもいるから)
生きている牛たちだからこそ
この作業が必要だったということなのですね
希望の牧場の除角は残酷なようですが
優しさから来ているものだった
しかしそれでも牛にとって麻酔なしは
本当に気の毒としか言いようがありません
じゃ麻酔を打つ獣医師をお連れするしかない
その費用はどうするのか
お前が用意できるのか?
無理です ごめんなさい
ここでも矛盾がありますね




ダダーっと勢いで書いたブログですので
分かり難かったらごめんなさい